抄録
世界の軽水炉の構造規格はASME Sec.IIIをベースとしており、疲労評価に関する規定は、1963年にASME規格において初めて導入された。その後、この規定はほとんど変更されることなく現在に至っている。最近になり、高温水中で疲労寿命が低下するいわゆる環境疲労に関する研究成果を取り入れた、環境疲労評価手法に関する学会規格が世界で初めて我が国において制定された。現在、米国においても我が国の研究成果等を活用した環境疲労評価手法がNRCのRegulatory Guideにまとめられ、更にASME Sec.III規格への導入も検討されている。本稿では、環境疲労評価手法の規格制定に至る経緯や評価手法の開発、今後の課題について論じる。