抄録
本研究では酸素不定比性を示すセリア系酸化物の機械的特性に及ぼす還元処理の影響を検討した.対象とした材料は酸素定比性化合物であるジルコニア酸化物と酸素不定比性化合物であるセリア系酸化物であり,これらを酸素分圧0.21atm〜10^<-22>atmで還元処理した後,小型試験法により縦弾性係数および破壊強度を評価した.その結果,ジルコニア酸化物はほぼ変化がないもののセリア系酸化物は酸素分圧が低下するに伴い縦弾性係数,破壊強度ともに低下した.これは低酸素分圧領域において生じた酸素欠陥ならびに格子ひずみが主な原因であると予想される。