抄録
A7075-T6合金の摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding: FSW)継手を用いて,大気中および塩水中において軸荷重疲労試験を実施した.継手部では動的再結晶による結晶粒微細化とFSW時の入熱により析出物が再固溶するため軟化が生じた.大気中では,最軟化部で疲労き裂が発生し破断したが,結晶粒微細化と試験中の顕著な動的時効硬化のために継手の疲労強度は母材と同程度であった.塩水中では,最軟化部に優先的に腐食ピットが発生するために継手の疲労強度は母材より低下し,FSWによって環境感受性が高くなることが判明した.