抄録
高張力鋼の超高サイクル疲労特性を明らかにするため,500MPa級高張力鋼SM490Aと600MPa級高張力鋼WEL-TEN590RE の平滑試験片について回転曲げ疲労試験を行い,10^8回までの超高サイクル疲労特性を評価した.その結果,SM490Aは内部破壊を生じず,超高サイクル領域まで明瞭な疲労限度を有するが,WEL-TEN590REは繰返し数10^7回以降も疲労破壊を起こすことがあり,超高サイクル領域で疲労限度の低下する傾向が認められた.破断した試験片に対して破面観察と成分分析を実施したところ,WEL-TEN590REにおいて超高サイクル領域で複合介在物を起点とした内部破壊が確認された.