脳の機能と構造に学んだ高性能プロセッサを開発したい。近年, ある種の競合神経ネットワークにおいて, 平均発火率の代わりにスパイクのタイミングで情報符号化すると, 早期の段階でニューロン間の競合が完了するだけでなく, ニューロンの選択がノイズに対してロバストになることが明らかになっている。そこで, 電流スパイクを発生するシリコンニューロン回路を用いて簡単な競合ネットワークをアナログ回路化し, 上記の特徴(高速競合処理とノイズに対する冗長性の改善)を再現するプロセッサを試作した。スパイクタイミングに基づく情報処理システムは, 今後, アナログデバイスが持つ冗長性の問題を克服する効果的な方法を提供するかもしれない。