主催: 一般社団法人 日本機械学会
会議名: スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス2016
開催日: 2016/11/09 - 2016/11/11
スポーツ庁のもとで進められてきた,「ハイパフォーマンスサポート事業パラリンピック研究開発プロジェクト」において,我々グループは,研究者と障害者水泳連盟技術担当者,コーチさらには協力企業の態勢により視覚障がい水泳選手を支援するトレーニング用具の開発を行った.本稿では,これらのトレーニング用具である,音声ペースクロック,無線骨伝導スピーカーゴーグル,壁接近検知システムの異なる3つのシステム・用具を紹介する.視覚障がい水泳選手のトレーニングでは,壁に接近してきた場合にタッピング棒とよばれる用具で選手の頭部または胴体部に触れて,壁への距離を選手に伝える.選手の安全を確保する事が第一優先順位であるため,現状コーチはタッピング行為にまず集中しなければならない.選手数が増える,さらには複数コースで泳ぐ場合には,コーチの対応が難しくなる.そこで,こうした状況にも対応出来る事を目指したトレーニング用具・システムである,無線骨伝導スピーカーゴーグル及び壁接近検知システムの開発事例を紹介する.また,視覚障がい水泳選手の場合,健常者が利用する壁に架かったペースクロックの時間を確認できないために,インターバルトレーニングにおいて出発時間を知る方法がない.そこでコーチがこれも読み上げてやる必要がある.タッピング行為とともに出発合図の読み上げ,さらにはタイムの計測までがコーチのトレーニング中のタスクであるが,このうち出発合図の読み上げ,タイムの計測を代替する,音声ペースクロックの開発事例も紹介する.本研究開発プロジェクトでは,これらの開発用具・システムを実際に健常者並びに視覚障がい水泳選手に使用してもらい,その評価を行った.