抄録
玄関先や浴室などにおける高齢者の日常生活動作(ADL)を支援するため,ユーザにとって使いやすい介助腰掛の開発を行った.腰掛は回転と高さ調節ができること,さらに必要なときに取り出し,コンパクトに収納できるようにするため,従来型とまったく異なる新しい構造にデザインした.その安全性を確保するため、耐久性評価試験を重視した.試験中,腰掛の力学的応答の変化を調べ,同時にAE(Acoustic Emission)モニタリングを行った.得られた結果に基づき機械的特性の劣化および損傷・割れの発生を検討した.その結果,介助・介護機器の耐久性評価には損傷やき裂の発生/進展を感度よく検出できる実験手法を援用することが有用であることが分かった.