日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第54回日本衛生動物学会大会
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晩秋に長距離移動飛翔が見られるオオクロバエのヱクジステロイドと脂質
森林 敦子主藤 千枝子倉橋 弘
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p. 65

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抄録

オオクロバエは、冬型の気圧配置となる10月下旬に長距離飛翔をし、九州に渡ってくるものがある。その後交尾し、卵巣が発育し世代交代を行なう。長距離飛翔と卵巣発育の生理学的解明のために、実験室内で飼育した韓国釜山産のオオクロバエ(メス)を使用し、飛翔のエネルギー源と考えられる脂質の特性と、卵巣発育に関連するヱクジステロイドの活性について調べた。その結果、羽化10日後よりヱクジステロイド活性が高まり、15日後にピークを形成しその後低下した。15日後は、卵への卵黄蛋白の蓄積が始まる時点であることより、卵の発育との関連が示唆された。また羽化後体重は4倍、脂質含量は6倍に増加した。なお構成脂肪酸の中でパルミトオレイン酸(C16:1)は、約3倍に増加した。この脂肪酸の増加は、同じく冬に世代交代するケブカクロバエと類似していた。

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© 2002 日本衛生動物学会
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