抄録
1997年と2000年から約3年間,大分県下の11ケ所において人囮法により合計2224個体のメマトイ類を採集した.採集数はカッパメマトイ806個体(36.2%),マダラメマトイ669個体(30.1%) ,ツバメメマトイ427個体(19.2%),オオマダラメマトイ 280個体(12.6%),クロメマトイ42個体(1.9%)であり,4月から10月に採集され,8月に最も多かった.優先種は採集地点や採集時期により異なった.採集したメマトイのうち877個体を解剖し,5地点でThelazia類幼虫を検出した.カッパメマトイ,オオマダラメマトイ,マダラメマトイからThelazia類の第1,2,3期幼虫が検出された.感染率はそれぞれ,3.8%,3.2%,2.3%であった.また,大分県下の人体感染症例より得た東洋眼虫 Thelazia callipaeda 成虫と,カッパメマトイから見い出した第3期幼虫のDNAを抽出し,ITS1領域を比較した結果,両者の配列は一致した.メマトイから検出したThelazia幼虫は,T. callipaeda幼虫と考えられる.