シラミ媒介性疾患として、グラム陰性桿菌であるBartonella quintana (B. quintana) を病原体とする塹壕熱、スピロヘータであるBorrelia recurrentis (B. recurrentis) を病原体とする回帰熱が最近問題になっている。日本において、B. quintanaの遺伝子は、路上生活者の血液およびコロモジラミから検出されているが、今回、B. quintanaに対する路上生活者の血清抗体価について検討した。また、回帰熱に関してもコロモジラミからB. recurrentisの遺伝子を検出することを試みた。
B. quintanaに対する抗体価は、健常人に比べ優位に高かった。また、回帰熱の病原体遺伝子は路上生活者由来のコロモジラミから検出されなかった。
従って、塹壕熱に関しては、遺伝子のみならず抗体が検出されたことから、路上生活者において塹壕熱の流行が起こっていることが示唆された。