ガイマイゴミムシダマシは鶏舎内の鶏糞中に普通に見られる昆虫で、多数生息すると鶏糞の乾燥化を促進し、イエバエの幼虫も捕食して、ハエの発生を抑制する。しかしウィンドレス鶏舎などで大発生した場合には、幼虫が鶏舎の断熱材に穿孔して損傷を与えるほか、成虫が周辺の照明に飛来して衛生上問題となる場合もある。本種の成虫の各種殺虫剤に対する感受性については既に報告したが(富岡・永山,1996、1997)、今回は複数の産地の個体群について、成虫および幼虫の感受性を評価し比較した。感受性の高かったものは、有機リン剤のフェンチオン、フェニトロチオン、プロペタンホスの順となり、ピレスロイド剤のペルメトリン、エトフェンプロックスはこれらよりやや感受性が低く、カーバメート系のカルバリルは殺虫効果が劣った。この傾向は成虫、幼虫とも同様であった。IGR剤では、ピリプロキシフェンの感受性が高く、シロマジン、ジフルベンズロンに対する感受性は非常に低かった。これらの現象は抵抗性の獲得によるものではなく、本種の元来の耐性を示していると考えられた。