抄録
蚊幼虫発生源調査は西宮市の地形図を参考にして、10地区に分割し、各調査地区内の道路、市立の公園、保育所、幼稚園、小学校、中学校等施設の10%を無作為に選択し、施設内にある雨水枡を全数調査した。なお、高校、支所などの市立の施設については個数がわずかなので全施設を対象とした。調整池についても全数調査した。調査期間は平成18年6月より10月にかけて行った。調査内容は調査対象域内の雨水枡の有水枡数で柄杓(クラーク製)で掬い取り(四隅)、研究室に持ち帰り、幼虫を種別、零期別に計数し、蛹は羽化させて雌雄別、種別(アカイエカ、チカイエカ、他)に計数した。道路、公園、施設(私立保育所、小・中・高校など)での調査雨水枡数総計は10,077枡で、そのうち有水枡数は1,655枡(全数に対して16.4%)であった。有水枡のうち約28%にあたる463枡で何らかの蚊幼虫が採集された。調査全雨水枡に対しての幼虫発生率は4.6%であった。調整池の調査数は40箇所でいずれの池でも幼虫は認められなかった。採集された蚊幼虫数は全合計で14,189、蛹は2,682個体であった。イエカ属幼虫は44.1%、ヒトスジシマカ幼虫55.9%、コガタアカイエカ2匹であった。蛹から羽化が見られたものは2,352(87.7%)個体で、その内アカイエカ379(14.1%)、チカイエカ146(6.2%)、ヒトスジシマカ1,809(76.9%)、ヤマトクシヒゲカ15(0.64%)、トラフカクイカ2、コガタアカイエカ1であった。本調査研究は平成18年および19年にわたる初年度の調査の範囲内の報告で、市営住宅、戸建て一般住宅、マンション、その他についての調査を平成19年度に予定している。平成18年度の調査面積は、西宮市の全面積の約6%(6,026,806_m2_)に当たっている。口演では調査地区ごとに考察する。
Keyword : mosquito, larvae, fauna,Nishinomiya City,catch basin