日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第60回日本衛生動物学会大会
セッションID: B21
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リーシュマニア原虫感染サシチョウバエのマススクリーニング法の開発と南米アンデスの疾患流行地での疫学調査への応用
*加藤 大智Caceres AbrahamGomez Eduardo三森 龍之上里 博岩田 祐之橋口 義久
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抄録
リーシュマニア症流行地において、分布するリーシュマニア原虫およびベクターであるサシチョウバエの種の同定、サシチョウバエの原虫保有率などの疫学調査は、リーシュマニア症の流行やリスクを予測するうえで重要である。本研究では、リーシュマニア原虫感染サシチョウバエのマススクリーニング法の開発を行い、エクアドルおよびペルーのアンデス地域のリーシュマニア症流行地における疫学調査に応用した。【材料と方法】リーシュマニア症流行地域で採取した個々のサシチョウバエにDNA抽出バッファーを加え、37℃で一晩反応させたものを鋳型にAmpdirect PCRを行った。原虫感染の有無はリーシュマニアminicircle遺伝子の増幅で判定し、原虫種はcytochrome b遺伝子の塩基配列の解析により同定した。また、サシチョウバエ種の鑑別は、サシチョウバエ18S rRNA遺伝子の制限酵素切断パターンを指標に行った。【結果と考察】本検出系の感度は、検体中の1匹の原虫を検出できる感度であった。また、エタノール固定した原虫感染サシチョウバエを用いて、サシチョウバエ体内の原虫を検出できることを確認した。次に、エクアドルおよびペルーのアンデス地域で採取した検体のマススクリーニング調査を行った。その結果、エクアドルの192検体およびペルーの462検体のサシチョウバエ種を同定することができ、このうち、エクアドルのLutzomyia(Lu.) ayacuchensis 3検体からLeishmania(L.) mexicanaが、ペルーのLu. peruensis 1検体からL. peruvianaが検出された。本研究では、リーシュマニア原虫感染サシチョウバエのマススクリーニング法を開発し、本法の疫学調査における有用性が示された。
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© 2008 日本衛生動物学会
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