日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第60回日本衛生動物学会大会
セッションID: B22
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塹壕熱病原体Bartonella quintana遺伝子の迅速検出システム
*佐々木 年則小林 睦生
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抄録

再興感染症塹壕熱はシラミによって感染することが知られている。第一次世界大戦や第二次世界大戦で大きな問題となったが、最近になって欧米のホームレスや世界の各地で塹壕熱が問題となってきた。塹壕熱病原体Bartonella quintanaは培養に1から3ヶ月を要する。また、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) を用いた遺伝子の検出方法もあるが、遺伝子配列を読まなければならない。そこで、特異的で迅速検出システムが必要とされ、我々はTaqMaqプローブ法を用いたBartonella quintanaの遺伝子検出システムを開発することを検討した。 Bartonella quintanaの数株と近縁のネコひっかき病の病原体Bartonella henselaeを用いゲノムDNAを抽出した。Bartonella quintanaの16S-23S rRNA intergenic spacer region 1(ITS1)に対してプライマーとプローブを設計し、リアルタイムPCRにて検出した。 その結果、ITS1遺伝子10コピー以上あれば検出できることが分かった。Bartonella henselaeには反応せず、Bartonella quintanaのすべてに反応した。今後、このシステムを用いれば塹壕熱病原体遺伝子の迅速かつ大量の検出が可能であると考えられた。

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© 2008 日本衛生動物学会
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