日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第61回日本衛生動物学会大会
セッションID: A05
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一般講演
マダニシスタチン3種の酵素阻害性状と局在
*山地 佳代子辻 尚利三好 猛晴イスラム カイルル八田 岳士アリム アブドゥルM アニスザマン竹中 昭雄藤崎 幸蔵
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抄録

血液を唯一の栄養源とするマダニの生存基盤は吸血である。我々は吸血消化に対応した分子基盤に注目し、システインプロテアーゼ(CP)及びインヒビター(CPI)の関与を明らかにするため、フタトゲチマダニの中腸より分離したシスタチン、Hlcyst-1,-2と唾液腺HlSg-1の酵素阻害性状と局在を検討した。大腸菌発現の組換え体Hlcyst-1はカテプシンLとBに、Hlcyst-2及びHlSg-1はカテプシンLとパパインの基質分解活性を抑制した。次にマダニの内在性CP(HlCPL-A)の合成基質及びヘモグロビン分解活性に対する3種シスタチンの阻害効果を検討した結果、Hlcyst-1とHlcyst-2によって阻害されることが確認されたが、HlSg-1では阻害効果は検出されなかった。免疫組織蛍光抗体法では、Hlcyst-1とHlcyst-2はそれぞれ吸血成ダニの中腸上皮細胞膜及び細胞質内に、HlSg-1は腺胞細胞にて確認され、発現の局在が異なるHlcyst-1,-2及びHlSg-1はそれぞれ特有のプロテアーゼ阻害機能を保持していることが示唆された。

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© 2009 日本衛生動物学会
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