日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第61回日本衛生動物学会大会
セッションID: A29
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一般講演
食塩水のアカイエカおよびヒトスジシマカに対する殺幼虫効果および産卵抑制効果
*橋本 知幸秋山 順
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抄録
殺虫剤が入手困難な状況における、暫定的な蚊発生源対策の一つの可能性として、食塩を使った殺幼虫効果ならびに産卵抑制効果を、室内試験によって検討した。ネッタイシマカについては、中田(1956)により報告されているが、演者らはヒトスジシマカおよびアカイエカに対する効果を検討した。アカイエカおよびヒトスジシマカの飼育系統を用いた浸漬試験では、24時間後のLC50値はいずれの種も、約1.25%(W/V)、72時間後は約1.00%であった。0.75%では時間が経過しても、幼虫に対する致死効果は低かったが、1.50%では48時間後までに100%の致死率が得られた。また、多数の吸血成虫がいる飼育ケージ内に、脱塩素水と食塩水を併置した場合、アカイエカでは、1.0%食塩水に対して、産卵を完全に回避し、脱塩素水にのみ産卵した。0.5%食塩水に対しては脱塩素水と同じように産卵し、健全な幼虫孵化が確認された。一方、ヒトスジシマカでは1.0%食塩水でもわずかな産卵が認められたが、壁面(ろ紙)への固着が弱く、大部分の卵が水面に流出したり、食塩水中に沈降した。この結果から、ヒトスジシマカについては、卵の壁面固着が食塩水によって阻害されている可能性が示唆された。
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© 2009 日本衛生動物学会
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