日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第63回日本衛生動物学会大会
セッションID: A34
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第63回日本衛生動物学会大会
北海道天売島のウトウ営巣地の土壌から得られた日本未記録のツツガムシの一種について
*高橋 健一三角 仁子高橋 守
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抄録

1997年6月から、北海道天売島に生息しているウトウ営巣地の土壌からツツガムシの分離を試みてきた。得られたツツガムシのうち、既知の日本産ツツガムシには該当しないNeotrombicula 属の一種が2000年6月17日に1個体得られた。その後の調査でも本種を得ることはできなかったが、形態的にほぼ完全な個体なので、その特徴を報告する歩脚の節数は第一、第二、第三脚とも7節で、背甲板の感覚毛は糸状でTrombiculini族の特徴を示していた。背甲板上の5本の毛は、いずれも僅かな分岐のある糸状毛であるが、感覚毛には分岐はなく鞭状である。背甲板の前隅角に肩は作らず、後縁はゆるやかなU字状を呈していた。脚基節と背甲板に微小な点刻が全体に分布していた。第3脚跗節、脛節、腿節のそれぞれに1本の単条長毛があることから、Neotrombicula属のautumnalis群に含まれる 触肢毛式はB/B/NNB、7BS, ガレア毛は長い単条毛。AW 67.5, PW 85, SB 25, ASB 27.5, AP 32.5, am 38.4, al 35, pl 47.5, s 72.5 fDS= 2+8.6.6.4.4.2=32. 本種の特徴は、感覚毛が鞭状であること、触肢先端の爪は2分岐し内側が外側より長いこと、触肢第四節腹面毛が分岐していることなどがあげられる。

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© 2011 日本衛生動物学会
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