日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第63回日本衛生動物学会大会
セッションID: A33
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第63回日本衛生動物学会大会
マレーシア産ギンモンカ属(Topomyia)幼虫小顎(maxilla)の形態的特徴
*宮城 一郎岡澤 孝雄當間 孝子M. U. Leh
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抄録

ギンモンカ属(Topomyia)は東南アジア特有で,約60種からなり2亜属,SuaymyiaTopomyiaに2分されている.幼虫はいろいろな植物の葉腋(leaf axils)や竹筒節内など植物が溜める水溜り(ファイトテルマ-タ・phytotelmata)に発生し,成虫はすべての種が無吸血産卵性で人畜の病気の媒介とは関係ないことから,分類・生態学的研究は遅れている.雄成虫の生殖器の形態に種の特徴があり,幼虫の記載は遅れており,各種幼虫の同定は困難である.Suaymyia亜属の種の幼虫はほとんどが捕食性であるが,Topomyia亜属の多くの種が非捕食性とされている.最近,演者らはマレーシア各地で本属の幼虫を採集し,個別飼育により一連の標本(幼虫・蛹の脱皮殻,成虫)を得て,新種や既知種の記載をしてきた.その際,これまでほとんど注目されていなかった幼虫の口器・小顎(maxilla)の形態が種の特徴を呈していることに気づき,捕食性、非捕食性と口器の形態を観察してきた.今回はこれまでに観察したマレーシア産のTopomyia属の12種,沖縄産1種(Topomyia yanbarensis)と近縁属のマレーシア産のKimia decorabilisMalaya genurostris各1種の小顎の形態を描写し,比較した. Topomyia 亜属の種はMxBnを欠き,ATは概して未発達で小さく,LRは毛状でMaxillary bodyは幅が長く,indexは0.6以上であった.To. malayensisは例外的にATが発達し,LRも歯状であったがMxBnを欠いていた.Suaymyia亜属の種はMxBnが大きく発達し,ATは大小さまざま,LlRは歯状でmaxillary bodyは細長く,indexは0.6以下であった.To. spathulirostrisはMxBnとATを欠き,indexも0.81でTopomyia亜属の種と類似していた.以上のようにTopomyiaの幼虫の小顎の形態は属・亜属の特徴を有しており,ある程度種の特徴もみられた.

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