福島県はつつが虫病の好発地域である。秋(10-11月)に見られるタテツツガムシによるつつが虫病の発症数増加が全体の発症数を上昇させている。従来つつが虫の好発地域は農村地帯や山里であり、野外活動により感染が成立すると考えられてきた。2009年と2010年、我々は郡山市近郊の緑地周辺で感染したと推定されるタテツツガムシ症と示唆される症例を経験した。従来の症例と同様、散歩などの野外活動の結果感染の成立が示唆され、また感染推定地域における黒布見取法にてタテツツガムシの存在を確認することが出来た。今後は症例を集積し、臨床像や病原体の遺伝子学的情報の解析を続けると共に、感染推定地の把握とつつが虫生息の裏付け作業を行い、地域の疫学情報を早期診断、予防に役立てる必要がある。