日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第64回日本衛生動物学会大会
セッションID: W22
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第64回日本衛生動物学会大会
つつが虫病リケッチアの型別と媒介種の対応
*門馬 直太
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抄録
日本国内のつつが虫病リケッチアOrientia tsutsugamushi(以下 Ot)は主に6種類の血清型(Gilliam, Karp,Kato,Kawasaki,Kuroki,Shimokoshi)を有し,外膜タンパク質の塩基配列からさらに遺伝子型としてより細かく型別される. Otの型別は媒介ダニ種と強く対応することが知られており,症例毎の型別は感染予防など公衆衛生の観点からみても重要である.本病の確定診断は主に患者血清の抗体価測定により行われるが,商業的検査機関の検査では多くても3種類の抗原しか用いられないため,血清型を正確に決めることは出来ない. さらには用いた抗原以外の血清型に対しては検出感度が低下するため,特に感染初期においては適切な抗原を用いた抗体価測定が重要である.一方近年は病変組織 (痂皮)を検体とした遺伝子検査が行われ,感染した Otの遺伝子型に関する情報が蓄積されつつある.当所でも 2010年から遺伝子検査を行っており,タテツツガムシによって媒介される Kawasaki,Kuroki型に加え,2種類の Karp型,すなわちフトゲツツガムシが媒介する JP-2型,アラトツツガムシが媒介する JP-1型をそれぞれ検出している. このことから,県内では複数の媒介種が活動していることが推測され,この結果は媒介種の生息調査の結果と一致している.このように地域毎にOtの型別に関する情報を蓄積することで,抗体価測定における適切な抗原選択や媒介種の活動時期に応じた注意喚起が可能になることが期待される.
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© 2012 日本衛生動物学会
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