抄録
デング熱媒介蚊として重要なネッタイシマカおよびヒトスジシマカの発生に影響を与える環境要因の相対的な重要性については不明な点が多い.特に,これら 2種が同時に発生しているベトナム都市部などでは,有効な防除法を策定するために発生要因となる環境を特定する必要がある.本研究では,ベトナム北部に位置する首都ハノイ特別市中心部の 267軒の住宅家屋を対象として, 2010年 8月に家屋を訪問し,デング媒介蚊調査を実施した .幼虫発生源調査では,合計 726個の潜在的な発生源容器から,ネッタイシマカ 123個体,ヒトスジシマカ 295個体の蛹が捕獲された.成虫採集では,ネッタイシマカ 194個体,ヒトスジシマカ 24個体が捕獲された.家屋環境調査では,屋外の敷地面積,部屋数,世帯人数,上水道設置の有無,居住形態などについて調べた.各家屋からのネッタイシマカ,ヒトスジシマカ成虫の発生と家屋単位および地区単位の環境の影響について解析した結果を報告する .