日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第64回日本衛生動物学会大会
セッションID: A22
会議情報

第64回日本衛生動物学会大会
西宮市内公園の植生に潜むヒトスジシマカの捕集
*小林 睦生二瓶 直子吉田 政弘平良 常弘駒形 修
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
ヒトスジシマカの幼虫発生源は古タイヤ,墓石の花立ての容器など種々の人口的な容器である.しかし,現在都市部の発生源として,道路,公園,マンション,公共施設等に多数存在する雨水マスが重要な発生源である.雨水マスは主に透明の水が溜まっており, 落ち葉など幼虫の餌となる有機物も存在している.雨水マスで発生した成虫は,マス内には留まらず,周辺環境に存在する種々の植生に速やかに移動し,戸建て住宅や公園の植生に潜んで吸血源動物を待つと考えられている.しかし,どのような植生を好んで潜んでいるかなど基本的な情報がない.そこで,西宮市内の公園で,2×2.5×1.9mの蚊帳を個々の植生に被せて,その中に採集者が入って成虫を捕集する方法で潜んでいる蚊の数と植生の関係を評価した.その結果,ヒペリカム,サザンカ,オカメズタ,ヨモギでは成虫捕集率(陽性植生/調査植生)が60%を越え,その他ツツジ,ユキヤナギ,クチナシ,ナンテンも40%を越えた.捕集数は1-120頭と大きな差が認められ,1カ所の植生当り5頭以上の捕集数を示す植生の平均は,5.0~70.5となった.季節では8月下旬から9月にかけての捕集数が多い傾向があった.これらの結果から,公園の植生には相当数のヒトスジシマカが潜んでいることが明らかとなった.ヒトスジシマカ以外に 9-10月には少数のコガタアカイエカが,その他,アカイエカとオオクロヤブカが捕集された.
著者関連情報
© 2012 日本衛生動物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top