日本重症心身障害学会誌
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A02 ビデオ記録と脈拍数変化による重症心身障害児者のてんかん発作検出
後藤 一也植村 篤実今井 一秀平松 美佐子
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2010 年 35 巻 2 号 p. 227

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抄録
目的 重症心身障害者(重症児者)におけるてんかん発作の捕捉は、様々な要因により困難なことが多い。発作捕捉の一助とするため、24時間ビデオ記録と脈拍数(PR)測定の有用性を検討したので報告する。 方法 対象は5名の重症児者で、発作起始が明らかな運動発作を有し、発作間欠期脳波から局在関連性てんかんと診断されている。病棟ベッドサイドにて暗視カメラによる24時間ビデオ記録とともに、酸素飽和度モニターによるPR記録を行い2秒間隔でPRを記録保存した。ビデオ観察にて、明らかな姿勢変化、持続する強直、強直間代痙攣(粗大発作)を判定した。一方、PRを解析し、頻脈(>平均PR+2SD)と較差20以上をPR変化ありとしてその区間を抽出し、ビデオ観察を行い、粗大発作とともに、眼・口部や表情変化や呼吸状態の変化(呼吸困難、咳込み、むせ)、処置、判定不能などに区間のイベントを分類した。 成績 対象別では2〜11回の粗大発作が確認された。粗大発作では2名で全て、2名で1回を除きPR変化を伴い、1名では強直発作ではPR変化は認めたもののspasmsやミオクロニーではPR変化を認めなかった。一方、PR変化は18〜56回確認され、経管栄養や痰の多い症例ではむせなどに伴うPR変化が多かった。PR変化で検出された粗大発作は2〜21回で、2名では全て、2名では約半分はVTRで判定できたものであったが、1名はビデオでは不随意運動と区別できないものも多く含まれていた。睡眠時の発作では較差のみでPR変化が捉えられるものがあった。 結論 重症児者の発作捕捉は、粗大な運動発作においても困難な症例もある。しかし、症例ごとに対象となる発作症状を整理したうえで、PR測定を併用したビデオ観察を行うことは、発作の発生状況の把握、薬剤の効果判定に有効である。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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