日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P1045 当センターでの短期入所の現状
−特に入所中の体調変化について−
岩崎 裕治井手 秀平野口 ひとみ佐藤 育子大越 優美大澤 由記子荒井 康裕益山 龍雄有馬 正高
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2010 年 35 巻 2 号 p. 277

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抄録
はじめに 短期入所は、特に医療的なケアが必要な重症心身障害児(者)にとり、必要不可欠な在宅支援の一つである。しかし短期入所中に体調を崩し、治療が必要になる利用児(者)も少なからず存在する。今回、当センターの短期入所の現状、特に入所中の体調変化について検討したので報告する。 対象・方法 平成18〜21年度の当センター短期入所の延べ回数、事由などを分析した。また体調変化については、平成21年度に入所された全利用者につき、カルテより体調変化の種類、回数などを検討した。 結果 平成18年の短期入所利用児(者)は延べ266名であったが、平成21年度は、449名と増加していた。平成21年度の利用児(者)では、超重症児が104名、準超重症児が200名、その他 145名であった。人工呼吸管理が必要な児は、平成18年度が14名、21年度が68名と増加していた。体調の変化は、超重症児で31.1%、準超重症児では25.9%にみられた。体調変化で最も多いものは発熱であった。 考察 以前の報告では3−5割程度に短期入所中の体調変化がみられ、また突然死なども報告されている。今回の検討では重症度が高いほど体調変化を来たす利用児(者)の割合も多くなっている。短期入所は在宅支援として欠かすことのできないものであるが、このようにリスクもあることを認識し、未然に重症化することを防ぐことが必要である。また行政や利用されるご家族にもこのようなリスクがあることを認識しておいていただく必要がある。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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