抄録
はじめに
当園は、生活介護事業で医療的ケアが必要な障害児(者)を受け入れている。当園での受け入れにあたり、学校、福祉事務所等と連携を行っており、新通所者2例を通して、特別支援学校から地域通所施設での受け入れについて報告する。
事例1
18歳、女性。急性脳症後遺症による四肢麻痺、てんかん。自宅では、体調不良時に吸入・吸引を実施。高等部3年秋頃より、かぜ等体調不良で休むことが多くなり、学習時はうつ伏せ等で排痰を促し、給食前に、保健室対応で吸引を実施。当園通所体験中は、体位等で排痰介助。母、同行時に吸引を実施した。通所決定後、学校訪問し、担任等より情報収集。通所開始前に面接。園での医療的ケアの申請、主治医の意見書等の依頼。嘱託医の面接を行い、園として医療的ケア(吸引・必要時薬液の吸入)の実施を了承。4月より、週5日通所開始。
事例2
18歳、男性。脳性麻痺による四肢麻痺。高等部2年時、経口摂取ができなくなり、長期入院。経鼻咽頭エアウェイ、胃瘻造設し高等部3年夏に在宅生活へ(訪問学級に在籍)。しかし、在宅での生活に余裕がなく、福祉事務所担当者、教員の訪問は断っていた。卒業間際、卒業後の相談・通所機関の確保のため、福祉事務所担当者、訪問学級担任、当園看護師で家庭訪問。その際、当園への通所の可能性、家族の希望確認。卒業前に、本人・家族で当園見学。4月より、週1日の契約。月1回程度の通所。通所時は、家族が付き添い医療的ケアを実施している。
考察
学校と通所施設では、在学中に通所施設で通所体験をし、体調面も含め情報の共有をしている。卒業後、体調が大きく変化し、通所開始後、医療的ケアが必要になる例が多い。今回、2例共、高等部在学中から体調が変化していたが、校内では医療的ケアは実施していなかった。環境が変化する通所開始時に、福祉事務所を含め、関係機関間で連携をより深めることが大切である。