日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
症例報告
重症心身障害のある子と死別した母親の11年間の「思い」と「生活」に関する研究
牛尾 禮子鹿島 江利子
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2011 年 36 巻 3 号 p. 499-502

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抄録

重症心身障害のある子と11年前に死別した母親に対して、その後の「思い」や「生活」について面接調査を行った。その結果、母親は、「10年間不安定な状態が続き、3年間は鬱状態だった」、「3年後から介護の仕事やボランティア活動をしてみたが立ち直れなかった」、「子の死後は夫と自己を分離して考えられるようになった」、「自分の将来について考えるようになった」、「夫と二人で元気で生きていく決意ができた」、「子の死は過去の出来事になりつつあった」、「夫との生活を楽しむようになった」、「かつての母親仲間との交流は希薄になったが、近隣の人々と交流は広がっていなかった」ということが明らかになった。母親は、子どもとの死別の悲しみから立ち直る努力をするが、容易に立ち直ることができず、10年という長い歳月を要していた。子との死別後も母親に対する支援の必要性が示唆された。 

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© 2011 日本重症心身障害学会
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