抄録
目的
日中活動における生活の質を高める療育が求められるなか、公法人立重症児施設(重症児施設)および独立行政法人国立病院機構(国立病院)における療育の実情についてアンケート調査した結果を報告する。
方法
調査対象 全国196カ所の重症児施設および国立病院
調査期間:平成24年3月〜5月
アンケート項目:主に日中の療育活動の内容、活動を行っている職種、療育活動への配慮、療育活動で困っていること、療育活動への参加者数と職種など
調査方法:郵送法で実施。
結果
回収率:重症児施設47カ所で39%、国立病院35カ所で47%、全体では42%。 療育活動の内容:80%以上で実施している活動は多い順に、重症児施設は、集団で音楽活動、音楽鑑賞、楽器演奏、足浴、マッサージ、国立病院は、その他にタッチングによる触刺激、トランポリンによる揺らし、歌い聞かせ、スヌーズレン、暗い部屋でのリラクゼーションであった。 療育活動への配慮:60%以上の重症児施設は、活動内容、活動の種類、姿勢、職員間の連携、国立病院は、その他に表情、参加者の規模、活動時間であった。 困っていること:重症児施設の95%、国立病院の78%で療育について困っていた。重症児施設は、支援スタッフの配置、参加頻度の調整、活動内容の設定、活動時間の設定、活動種類の設定、国立病院は、その他に記録の付け方であった。 活動時間:重症児施設は31〜45分、国立病院は46〜60分が最も多かった。 参加人数:施設、病院ともに6〜10名が最も多かった。 職員:重症児施設は、保育士、児童指導員、介護福祉士、病院は、介護福祉士に替わって看護師であった。 費用:重症児施設の57%、病院の63%が療育活動に伴う費用を請求していない。
考察
多くの施設が少ないスタッフで、障害特性に応じた配慮しながらバラエティーに富んだ療育内容で、少しでも多くの利用者に療育活動を保障しようとして苦慮している実情が認められた。