日本重症心身障害学会誌
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P-2-C-13 医療的ケアの必要な青年期以降の重障者と家族が求める在宅支援(第1報)
浜辺 富美子田中 千鶴子俵積田 ゆかり菅原 スミ
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2012 年 37 巻 2 号 p. 332

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抄録
目的 医療的ケアの必要な青年期以降の重障者の問題として社会参加、高齢化する親の介護負担などが指摘されているが、在宅支援の問題状況は明らかにされていない。そこで重障者と家族の生活の維持に関わる主な在宅支援サービスの利用状況、その問題点と課題を家族の視点から明らかにし、今後の在宅支援のあり方を検討する。 方法 1)調査対象地域:在宅移行が進み青年期以降の在宅重障者が多く、支援施策も進んでいる横浜市を選定した。 2)1次調査:通所施設に通う医療的ケアの必要な利用者ほぼ全数(96名)の家族に調査票を配布し50名から回答を得た(回収率52.1%)(2008年)。2次調査:1次調査を補完する目的で同じ内容について介護者12名に半構成的面接を実施した(2011年)。 3)調査内容:対象者の基本情報、最近2年間の訪問看護、ホームヘルプ、デイサービス、短期入所、日中一時支援等在宅支援サービスの利用状況、緊急時の対処の実態等 結果・考察 サービスの利用状況は、訪問看護24人(48%)、ホームヘルプ29人(58%)、デイサービス100%、短期入所45人(90%)日中一時支援32人(64%)であった。利用にはさまざまなメリットがある一方、看護師の不足・不在のために医療的ケアが受けられない、利用日・回数・時間に制限がある、介護の質に関する問題、重障者に慣れた支援者でないと適切な対応が困難、預けたことで環境が変わり体調が悪化する(短期入所)などが指摘された。診療所併設の身近な小規模多機能施設は利用しやすいと評価された。本人や介護者の年齢が高くなると利用日数が減る傾向にあり、家庭での抱え込みが懸念された。サービスが利用しにくい背景には、重症化し個別性の強い重障者の特性や介護者のサービスに対する不安やあきらめ、介護への役割拘束の意識などが影響している。日々の生活を維持するのに精一杯でニーズが潜在化することへの配慮が必要である。
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© 2012 日本重症心身障害学会
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