日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
原著
重症心身障害児(者)におけるミキサー食での経管栄養の試み
原 涼子山田 和孝松﨑 美保子小池 牧子許斐 博史
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2012 年 37 巻 3 号 p. 419-425

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抄録

中川の郷療育センターに入所中の、経腸栄養剤によって栄養管理していた重症心身障害児(者)18例に対し、一般食軟菜を基に調理したミキサー食を経管にて注入を試みた。対象は、経鼻経管栄養者4例、胃瘻栄養者14例であった。注入後高血糖6例、下痢5例、胃食道逆流現象等による嘔吐を繰り返した6例、胃瘻孔から注入物の漏れ1例において症状が改善した。栄養評価の指標として、体重、body mass index、血清総蛋白、アルブミン、鉄、フェリチン、マンガン、亜鉛、ビタミンC、活性型甲状腺ホルモン(free T4)を用いミキサー食変更前と変更後の体調が安定した時期が1~6カ月以上続いた後に評価した。評価は基本的にはその後6カ月ごとに行い、良好な栄養状態が維持可能であった。経鼻経管栄養者4例は、ミキサー食開始直後チューブ閉塞が見られたが、調理法の工夫により解決した。ミキサー食は経腸栄養剤と同様に障害なく栄養補給が実現できた。

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© 2012 日本重症心身障害学会
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