日本重症心身障害学会誌
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第40回日本重症心身障害学会 学術集会開催にあたって
「見つめ直そう、重症心身障害医療・福祉の原点」
宮野前 健
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2014 年 39 巻 2 号 p. 151

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抄録
重症心身障害学会の歴史は、1975年に小林堤樹先生が会長を務められた「第一回重症心身障害研究会」に始まります。その後研究活動が拡がると共に会員数も増え1996年には「日本重症心身障害学会」と改称して、このたび京都の地で第40回学術集会を迎えることになりました。今回の大会テーマは「見つめ直そう、重症心身障害医療・福祉の原点」(サブテーマ 新しい制度のもと、その課題と方向性)としました。「社会保障と税の一体改革」の大きな流れの中、障害者総合支援法が施行され障害者医療・福祉の現場にも変化が出ています。現在の医療がより高度に分業化の方向に向いているのに対して、重症心身障害医療は、「最も弱いものをひとりももれなく守る」を原点に、医療と福祉が一体となり、様々な分野を巻き込み発展してきました。そしてそれを支える多くの専門職種が参加する、他の医療分野ではあまり例のない集学的な学術集会となっています。    特別講演は糸賀一雄の思想と実践を継承・発展させてこられた、びわこ学園の髙谷清先生に「重い障害のある人の生きるよろこびと“生命倫理”」と題してお話をしていただきます。「重症心身障害医療・福祉の原点」にふさわしいものと考えています。また同志社大学の小西行郎先生には「赤ちゃん学からみた重症心身障害」と題してお話頂きます。赤ちゃんと同じように、重症心身障害児(者)にも僕たちが見過ごしている力・可能性が秘められていないか、それを引き出し伸ばしていくヒントはないか、赤ちゃん学の知見からお話頂きます。教育講演は、京都大学iPS研究センターの井上治久先生に「iPS細胞を用いた疾患研究 -神経変性疾患を中心に-」をお願いしています。iPS細胞技術もいよいよ臨床応用される時になり、この講演は我々に希望を与えてくれる事と思います。  今回一般演題として257題が登録されました。発表者は医師はじめ看護・リハビリ部門、教育や福祉分野など幅広く、演題内容は多岐に渡ります。またシンポジウムは下記の4題としました。 1.「障害者総合支援法からみた重症心身障害、その課題と方向性」  厚労省、「全国重症心身障害児(者)を守る会」および公法人立施設と国立病院機構それぞれの立場から、総合支援法の中で重症心身障害の今後のあり方について率直な議論できればと考えています。 2.「重症心身障害児(者)を支える職種の専門性向上」  基礎疾患と合併症が複雑に絡み合い、個別性が高い重症心身障害医療では生活支援を含め、専門的な知識と技術が求められます。それを担う人材の育成が必要になってきており、医療職ばかりでなく特別支援教育に携わる先生方の育成や課題についてもお話頂き、理解を深めていければと思います。 3.「利用者の権利・最善の利益と治療方針決定 −重症心身障害医療における家族・医療現場の思いとディレンマ−」  この3番目のテーマは学会員からの問題提議で、多くの医療現場で同じ思い・課題に直面していると考え急遽議論の場を設けることにいたしました。シンポジストとして親であり、「アシュリー事件」、「死の自己決定権のゆくえ」の著者でもある児玉真美さんに加わっていただき、一緒に考えられる場にしたいと思っています。 4.「地域生活と医療的ケア 快適に生きるための課題とこれから」  医療ニーズが高い重症心身障害児(者)・家族が、ともに安心して地域生活を過ごす上で不可欠の三本の柱(在宅医療・福祉行政・教育)とセーフティーネットとしての短期入所の課題と展望について議論を行います。  また恒例のファッションショーは、日本女子大学の多屋淑子先生の指導の下、利用者さんたちの思いをファッションにした手作りのものです。  演題登録が多く、シンポジウムを1題追加したため、口演・ポスター発表ともにタイトなスケジュールになりました。一部シンポジウムと口演・ポスター発表を同時進行するなど、ご迷惑をおかけしますが、多くの皆様に参加いただき活発な議論、有意義な情報交換を行っていただくよう宜しくお願いいたします。  最後になりましたが、今回の学術集会も「読売光と愛の事業団」のご後援をいただきましたことを深謝し、巻頭言とさせていただきます。 第40回日本重症心身障害学会・学術集会会長 国立病院機構南京都病院 宮野前 健
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© 2014 日本重症心身障害学会
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