日本重症心身障害学会誌
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O-1-G35 ビオチン補充により明らかな発毛を認めた、ビオチン欠乏症の一例
百中 宏杉 洋子沖野 文子
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2015 年 40 巻 2 号 p. 231

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抄録
症例は13歳の女児。2003年(2歳5カ月時)に急性脳症を発症し、意識なく寝たきりの状態となった。四肢麻痺あり、発語なく意思疎通不可(大島分類1)。経口摂取不可、経鼻胃管によるエレメンタルフォーミュラの注入を行っていた。亜鉛など微量元素の補充のため、ココアとテゾンを投与していたが、特に毛髪の異常は認めていなかった。2013年にココアを中止してから、しだいに脱毛を認めるようになった。しかし当時、脱毛の原因はわからなかった。 『ケトンフォーミュラ長期投与中に脱毛を来し、後にビオチン欠乏症と診断された症例』が報告され、調べてみたところエレメンタルフォーミュラにもビオチンは含まれておらず、本症例もビオチン欠乏を疑った。なおこのとき、テゾンとパンビタンの投与を行っていたが、いずれもビオチンは含まれていなかった。ビオチン濃度を測定し、0.7ng/dLと著明に低値で、ビオチン欠乏症と確定診断した。2015年2月26日よりビオチン(1mg/day)補充を開始、ビオチン補充後3カ月が経過したが、すでに明らかな発毛を認め改善傾向にある。
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© 2015 日本重症心身障害学会
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