抄録
はじめに
過敏や拒否による摂食困難は介入が長期に渡りやすい。また、まれな疾患は先行研究が少なく対応に難渋することも多い。今回、過敏・拒否による摂食困難なGolts症候群児に約6年間に渡り介入した経過を報告する。
症例
9歳女児。診断名はGoltz症候群、合併症は両側無眼球、口唇口蓋裂、裂手足、欠指趾、軟骨不形成等。3:8時に当施設外来利用開始、1/1Wで摂食介入継続中。母の思いは盲学校入学(初期)、固形食の摂取(現在)である。
摂食状況
主栄養は経菅。口腔周辺の接触過敏±、味覚過敏+、過敏・拒否による不快表現著明。表現は号泣、自・他傷。口腔諸器官の機能や摂食発達に大きな問題はない。
経過
介入開始時、食事前になると機嫌不良となり強い拒否を示した。初期にはごはんの歌や挨拶を取り入れ食事を予期させ、介助はSTのみとした。また、ゆれ刺激や歌と組み合わせることで1口を強化した。過敏に対しては全体的に触れる・慣れる時間を確保した。4:2には抱っこで50g程度摂取、同年PEG造設・経鼻チューブ抜去した。4:11には100g程摂取可能、椅子座位の導入を試みた。6歳代で150g程度で安定した。反面、ルール作りのため介助者・場所を特定していたことでそれ以外では摂取困難な状況が目立った。また、栄養注入は継続しており盲学校入学は叶わなかった。8歳代でペースト食1食が安定し注入等の医療ケアが減少、9:4に盲学校編入へとつながった。
まとめ
過敏や拒否の対応の1つとして未経験の物への対応時は、「歌や運動の組み合わせ」が有効なことが多い。児には1口に対し、ゆれ刺激や歌で強化、拒否を受け入れることなどが有効だった。初期には介助者や場所の特定で食事に対する不安感へ配慮したことも有効であった。また、母の思いである学校編入については、医療的ケアの減少(注入0)の点で寄与できたと考える。