日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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P-1-D11 摂食・嚥下訓練により摂食能力が向上した重症心身障害児の一例
松元 泰英塩満 梨恵寺地 純子
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2015 年 40 巻 2 号 p. 271

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抄録
近年、周産期医療の発達とともに、重症心身障害児の障害は、重度・重複化、多様化してきた。このような子どもの多くは、口腔内の麻痺や過敏、さらに長期化した経管栄養による経口摂取の未学習や誤学習などから、摂食・嚥下に大きな問題を抱えている。本校にも経口摂取困難な子どもや食事中にむせの見られる子どもなど、様々な摂食・嚥下障害を抱えている子どもが在籍する。 今回、給食を中心とした直接訓練とガム・ラビング等の間接訓練を組み合わせることで、摂食・嚥下機能の向上の見られた一例を経験した。 症例は、大島分類1、GMFCS5の未熟児網膜症を有する脳性麻痺の男子である。中学部1年時より、給食を中心とした直接訓練を始め、現在は中学部3年に在籍している。直接訓練開始当初は、ミキサー食で、舌の動きは前後または上下であり、咀嚼の動きは全く見られなかったが、現在では舌の動きに左右も加わり、咀嚼運動が見られている。また、水分摂取に関しては、当初口唇を使う動きは見られなかったが、現在ではストローの活用も可能になった。約二年の実施期間、摂食・嚥下訓練に関しては担任、食形態の調整においては栄養教諭と密な連携を図りながら行ってきた。具体的には、間接訓練では、ガム・ラビングやバンゲード法を中心に、直接訓練では、オーラルコントロールを中心とした取組を行った。その取組の内容と結果について、考察を加え報告する。さらに、直接訓練において、口唇や舌の新しい動きを引き出すためにどのような手立てが有効だったかを紹介していく。
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© 2015 日本重症心身障害学会
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