日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-1-E13 用手微振動による排便を促すための看護援助
飯島 沙也加
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2015 年 40 巻 2 号 p. 281

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抄録
はじめに 重症心身障害者の多くは、基礎疾患や合併症、治療薬の影響、運動不足、身体の変形、食事の形態などにより便秘になりやすい。このような患者に対し、手を用いた微振動を腰臀部および臀部の拘縮した筋肉や筋膜に与え、排便の促進に有効であるかを検討したためここに報告する。 対象 20歳代女性1名。大島分類1。 以前より1日排便がないときに翌日浣腸を実施することとしていたが、自然排便がないため1日おきに浣腸を行っている。 方法 期間:2014年11月14日〜12月26日の6週間。 3週間、排便状況を観察。その後3週間、臀部下方、臀部先端、大転子部、第3〜5腰椎周囲に毎日各1分間程度、用手により100〜200回/分の振動を与える。患者は、胃瘻造設や気管切開をしており腹臥位で安全に行うのは難しいため、深めの側臥位で実施。浣腸予定日は浣腸前に用手微振動を与える。週2回の入浴日は、筋群が弛緩し血流が改善した入浴後に用手微振動を実施。計画の導入前後で、自然排便と浣腸実施回数を比較。便が出ているかの目安として、便の量(g)を測定。用手微振動実施後の腸蠕動音増強の有無を記録。 倫理的配慮 個人情報およびプライバシーの保護に努めることを口頭および書面にて家族に説明し、同意を得た。院内の倫理審査委員会で承認を得た。 結果・考察 計画導入前は自然排便がみられなかったが、導入後自然排便がみられ、浣腸実施回数が減少した。 1日目以外は、浣腸後の排便が複数回に分かれることなく1回の排便であった。実施期間前は排便1回量40〜190gとばらつきがあったが、実施期間中は毎回100〜190gであった。実施期間前と比べ、排便1回量が安定し1度で便を出しきれたことから、効果的に排便を促せたと考える。用手微振動実施後、腸蠕動音が増強したことからも、腸蠕動運動が活発になり排便の促進につながったと考える。 結論 用手微振動は排便の促進に有効であった。
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© 2015 日本重症心身障害学会
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