抄録
急性肺炎に伴う低酸素血症後に一過性のミオクローヌスを呈したダウン症候群児を経験した。発熱と気道症状の出現後、第3病日より傾眠、顔色不良、第4病日に低酸素血症、意識レベルの低下を認め、第5病日より四肢と頭部にミオクローヌスが出現した。頭部MRIと脳波に新たな異常所見はなく、髄液5-HIAAは軽度高値であった。意識レベルの改善と随意運動の増加に伴いミオクローヌスは増悪したが、第9病日をピークに自然軽快し、約1カ月で病前の状態に回復した。ダウン症候群では、セロトニン機能の異常を基盤に持つため、低酸素状態の負荷が加わることにより、一過性にLance-Adams症候群類似の症状を生じたと考えられた。