抄録
重症心身障害児(以下、重症児)が最適な座位を継続的に保持するためには、座位保持機能搭載機器(以下、座位保持機器)を導入することが必要である。しかし、臨床場面において座位保持機器導入後における姿勢の不安定性が問題視され、その主な原因が骨盤の後傾と滑りであることが示されている。そこで本研究では、骨盤の後傾と滑りに対応した膝ブロックを試作し、重症児7名を対象に通常使用しているティルト・リクライニング角度に設定した座位と座位保持機器のティルト角度を5°に設定した2条件で膝ブロックの使用有無における矢状面骨盤傾斜角度を計測した。その結果、どちらの条件下においても試作した膝ブロック有の方が、矢状面骨盤傾斜角度は有意に高値を示した。本研究結果から、重症児が使用する座位保持機器において、試作した膝ブロックを導入することで骨盤後傾と滑りを抑制できることが可能となった。また、活動的な姿勢においても膝ブロックを使用することにより、姿勢が崩れてしまうという影響を軽減させ得ることが示唆された。