日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-Z18 安定した在宅生活をおくるための訪問看護早期介入の重要性
坂本 芳美國本 純子境 りえ
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2018 年 43 巻 2 号 p. 263

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抄録
目的 重症心身障害児の訪問看護早期介入の重要性について明らかにする。 方法 在宅移行にあたり、退院前カンファレンスを行った母親(主たる養育者)2事例に対し、訪問看護や社会資源を導入した時期とその理由、母親の気持ちの変容などについて半構造化インタビューを実施した。なお、今回の趣旨について説明し、同意を得ている。 結果 1.母親の気持ちの変容に関しては、在宅移行時にしっかりとしたレールを敷いてくれる準備期間があったことがとても助かった。暗闇から光を探す手探りの状態で母親の不安がとても大きく、看護師が訪問してくるのが待ち遠しかった。こんな重症な子を家で見てもらえて、仕事に行けるとは思ってもみなかった等の反応が得られた。2.現在利用している社会資源の導入時期と理由に関しては、訪問看護は退院前カンファレンス時より参加し退院直後から利用開始した。2か所目の訪問看護ステーション利用は、在宅移行後に利用開始となった。ヘルパー事業所は就学前の児童発達支援の利用開始時期、小学校の入学時期、きょうだいの受診、母親の就労等、ライフスタイルが変化するときに利用を開始していた。 考察 在宅移行までに準備期間を設けることで在宅生活がイメージしやすくなり、退院直後からサポートに入ることで先の見えない在宅療育に抱く不安の軽減につながっていた。また、ライフスタイルに変化があるときには、情報提供やアドバイスをしていくことで社会資源を有効活用することができ、より良い在宅生活としての幅が広がったと考える。 結論 医療依存が高い状況で在宅移行を迎える時期は、母親の精神状態はとても不安定であり、看護師の存在が大きな支えとなっている。早期に介入し、そのときどきの困難に対してもタイムリーに対応することが必要であり、在宅療養生活における不安が少しでも軽減され、子育てへの自信・自立へとつながるように関わることが重要である。
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© 2018 日本重症心身障害学会
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