日本重症心身障害学会誌
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O-1-F09 重症心身障害児(者)の教材活動における配慮点
田中 豊明柏山 むつ子内野 強
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2018 年 43 巻 2 号 p. 285

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抄録

目的 感覚運動期の重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の教材活動について配慮点と意義を考察する。 対象 感覚運動期の重症児(者)75名 男性47名 女性28名 平均年齢50.6歳(0歳〜71歳)認知発達段階は太田StageI−1(1)4名、I−1(2)26名I−1(3)22名StageI−2 14名 StageI−3 9名であった。大島の分類は1が38名、2が37名であった。 結果 1.教材活動のねらい 1)認知発達および上肢機能能力の維持、向上 2)日常生活の中で行動の調整や楽しみ 3)支援者が重症児(者)との関わりを楽しむ 2.認知発達段階別教材の内容と配慮点 太田StageI−1(1)(2):各種感覚刺激の教材を用いて反応を促す。 太田StageI−1(3):物に触れる、把握を促す。配慮点は教材を手に触れさせ把握や手首を介助してはなす、振ることを促す。 太田StageI−2:持つ、入れる、出す、振る、たたく。配慮点は教材にあった把握の仕方、操作を促す。 太田StageI−3:色や形を見分ける・はめる、積み上げる、道具の使用を促す。 配慮点は教材の扱い方を介助や指差しで援助する。 3.教材の工夫点 1)手の大きさ、上肢機能に合ったサイズや素材を用いる。2)感触、色や音など各種感覚に訴える素材を使用する。3)操作はシンプルにする。 4.教材活動による変化点・物の把握が可能になり、スプーンの把握につながった。・紐通し等が可能になり、絵カードを見比べるようになった。・激しい自傷に対し感覚教材を提供し減弱した。成人期では何年も関わり続けることで良い変化がみられた。 考察 認知発達段階、運動機能を考慮した教材活動は重症児(者)の機能の維持や良い変化を促すことが可能である。関わる側は教材活動を通じ、重症児(者)の新たな一面や発達の可能性を発見しその後の関わりの工夫につながると考える。

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