日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-2-Z01 重度肢体不自由者に対する情報通信機器の操作環境の工夫
−ジョイスティックマウスの活用−
上野 忠浩
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2018 年 43 巻 2 号 p. 297

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抄録
背景 重度四肢麻痺者にとって情報通信機器は社会や友人、知人、身近な介護者とのコミュニケーションを取る重要なツールである。最近ではパソコンだけでなく、スマートフォン、タブレット端末などの出現により携帯性が向上している。しかしそれらの機器を操作するための「キーボード」や「マウス」、「タッチペン」などは四肢麻痺者にとって使いにくい場合が多い。今回マウスの代替入力装置「ジョイスティックマウス(テクノツール)」の導入事例を経験したので報告する。 事例1〜頸髄損傷者〜 リクライニング・チルト式介助型車いす上で、デスクトップパソコンを利用している。ジョイスティックマウスとクリック用の小型スイッチをスタンド上に固定し、アゴでジョイスティックを、頬の動きで小型スイッチを押しクリック操作している。 事例2〜脳性麻痺者〜 リクライニング・チルト式介助型車いすに上で、タブレット型パソコンを利用している。右上肢の拳を使ってジョイスティックを操作しているが、クリック操作は中立位で垂直に押下する動作が難しく、操作方法の再検討を行っている。 事例3〜脳脊髄炎後遺症者〜 ベッド上仰臥位でタブレット端末やノート型パソコンを利用している。アゴの動きでジョイスティック操作とクリック操作を行っている。クリック用スイッチは分離配置していたが、操作の習熟によりジョイスティック中立位での押下ができるようになり分離したスイッチは不要になった。 考察 マウスカーソル操作はジョイスティックがその動きをカスタマイズできることから適合しやすいが、クリック操作は中立位で押下する際カーソルがずれてしまう、本体上の他のスイッチは押せない等の理由から、クリックスイッチを分離する場合が多い。 今後の展開 カーソル操作に於いて、前後左右移動を分離した方が確実な操作が見込める対象者も存在する。調整項目に分離動作モードの追加を要望していきたい。
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