日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-2-14 腰への負担を減らし、活き活きと働ける職場環境作り
−リフトを使用した実際−
松村 文隆櫛原 良枝北島 栄子前田 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 46 巻 2 号 p. 236

詳細
抄録

目的 保健衛生業で発生する業務上疾病全体の約8割は腰痛と言われている中、当病棟でも腰痛に悩んでいるスタッフが7割近くいる。過去に日本看護協会が実施した調査では、6割の病院が腰痛対策に取り組んでいないと回答している。当病棟もボディメカニクスなど個人任せになっているのが現状である。そこで今回、介護用リフトを使用することで腰痛緩和に繋がるのか明らかにした。 方法 対象:A病棟 看護師および療養介助員 40名  期間:2020年5月〜12月1.腰痛とリフト使用に対するアンケート調査 2.リフト使用に関する勉強会、動画でリフト使用方法の説明 3.リフト使用患者を8名に選定し、注意点を明記 4.リフトでの移乗にかかる時間を計り使用スケジュール作成 5.夕食後の患者移乗は夜勤者が中心になるように変更 結果 1.リフト使用状況・6月〜9月平均33.3回/月 使用についての見直し後10月〜12月平均104.3回/月 2.アンケート結果(11月に実施)・「リフトを使用している」と回答したスタッフ82%、「いいえ」が13%、「時々」5%・リフトを使用して「体が楽になった」31%、「時間がかかる・面倒」36%(1患者当たり4分34秒)・リフトを使わない人(13%)の理由として、「頼みにくい」、「今までの習慣から使わない」、「夕食後に使うと勤務時間内に終わらない」、「側弯や拘縮など患者の特徴が多様でありリフトの使用に慣れない」などの意見があった。 結論 1.リフト使用には時間がかかるため多忙な時ほどリフトなしで移乗している現状であり、さらにリフトが適切に使用できるような取り組みが必要である。 2.看護・介護業務では中腰での介助が多いことから、リフトだけでなくパワースーツの使用など複合的な対策が必要である。

著者関連情報
© 2021 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top