日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
症例報告
加温加湿高流量経鼻カニュラ療法(ハイフローセラピー)の長期使用における重症心身障害児の慢性呼吸不全への効果と注意点~
一症例からの考察
雨宮 馨黒川 洋明井之上 寿美小沢 愉理小沢 浩宮田 章子
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 47 巻 1 号 p. 185-190

詳細
抄録
加温加湿高流量経鼻カニュラ療法(ハイフローセラピー):Heated Humidified High Flow Nasal Cannula(以下、HFNC)は、急性期治療には欠かせない呼吸器療法となってきたが、慢性の呼吸器疾患や終末期の呼吸苦、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の呼吸障害への使用も報告されるようになってきた。 閉塞性低換気、中枢性低換気、嚥下障害を認める重症児1例に対し、HFNCを導入し明らかな症状の改善が得られ、その後5年間継続使用した。重症児(者)の器質的な軽度の上気道狭窄、または嚥下障害に伴う分泌物貯留による上気道狭窄を主とする病態の呼吸障害には、HFNCは非常に有効である可能性が示唆された。長期にHFNCを継続使用するには、症例の呼吸状態を適宜アセスメントし、適切なデバイスの選択と流量設定、使用時間の設定が必要であった。
著者関連情報
© 2022 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top