抄録
はじめに
コロナ禍2年が過ぎ、2022年7月時点で新型コロナウイルス感染はごく身近に確認されるようになっている。院内の感染対策とともに在宅の通院患者あるいは介護者が感染した場合の対応は喫緊の課題である。在宅療養中の重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))で家族内発症により濃厚接触者となった2名について報告する。
症例1
19歳 脳出血後遺症 夜間NPPV装着、胃瘻管理中。日中の介護を主に担っている父が腹痛で入院の際の検査で新型コロナウイルス感染が判明した。同居の母、本人、弟で濃厚接触者となった。本人の介護は健康で発症しなかった母が行った。母が療養明けから出勤希望あり、父が退院、回復するまでの短期入所希望で当院に相談があった。入院調整しながら、地域の相談支援専門員と連携し、通所施設の利用回数増、移送支援の追加をすることで在宅療養を継続することができた。
症例2
30歳 新生児仮死による脳性麻痺 気管切開、酸素吸入、胃瘻管理中。同居の2歳の甥が熱性けいれんで小児科受診し新型コロナウイルス感染が判明した。本人は当日、当院デイサービスを利用しており、連絡を受けてすぐに棟内隔離(距離、カーテン)をし、PCR検査実施、陰性を確認した。母、保健所、主治医が連絡を取り合い、そのまま濃厚接触者として空床であった当院コロナ対応病床に入院することとなった。翌日、同居の母、妹も発熱、咽頭痛、咳、味覚異常などの症状で発症、同居家族のうち本人以外が陽性となった。Day7でPCR陰性を確認後、重症心身障害病棟へ転棟し、母の症状が回復したDay16に退院した。
考察・まとめ
家族内で重症児(者)が濃厚接触者となった場合、介護可能な家族の健康状態、地域の感染フェーズ、受け入れ可能な医療施設の状況などにより、家庭での療養継続の可否、施設での受け入れの可否は変わってくる。県、保健所とも情報共有しながら対応する必要がある。