日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-⑥-8 3回のクラスターを経験して
松下 彰宏蘆野 二郎稲田 浩尾島 麻希斎藤 佳乃服部 妙香山元 康敏渡邊 早苗三井 丘子田中 勝治服部 英司
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2022 年 47 巻 2 号 p. 273

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抄録
はじめに 西宮すなご医療福祉センター(入院181床+短期入6床)で2022年2月以降入院患者に3回のクラスターを経験し、その反省と知見を報告する。 3クラスターの概要 1)2022年2月2日~19日 寝たきり患者が中心のA病棟で8名(35名中)が感染。隣接する短期入所エリアで陰圧装置とテントを利用して看護師により看護介護を行った。職員への感染はなかった。 2)4月2日~30日 寝たきり患者といざり移動が可能な患者が中心のB病棟で患者29名(50名中)職員24名が感染した。陰圧テント使用⇒病棟内女子エリアを感染区域に設定、出勤前の抗原定性検査、病棟全体でN95マスク着用、下足の履き替え中止などを実施した。 3)7月11日~8月10日(予定) 強度行動障害を含む徒歩からいざりで移動可能な患者が中心のC病棟で患者21名(46名中)職員12名、寝たきり患者中心A病棟で5名(35名中)職員12名、D病棟で2名(50名中) 職員12名が感染した。C・D病棟では居室の移動は行わず、C病棟は全体を感染対応とし、A病棟は短期入所エリア(陰圧)を利用した。 反省と知見 ・発端者はすべて発症1-2日前に無症状で勤務した職員と推定された。 ・可能な患者には抗ウイルス薬治療を行い、死亡、重症化患者はなかった。 ・てんかん重積発作で呼吸不全となった1名が転院治療を受けた。(卵巣がん患者1名は転院依頼するも実現できなかった) ・病棟内での職員の2次感染は感染区域ではほぼ見られず、経過観察エリアやナースステーションで発生した。 ・感染者の部屋移動は感染拡大の原因となった可能性があった。 ・就労直前の抗原定性検査(クラスター2)で感染者の発見があった。 ・10日の療養終了後、抗原定性検査で感染能力のないことの確認を行い、職員では全員陰性化が確認できた。入院患者では約2割で陽性が持続し、療養期間を延長した。
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© 2022 日本重症心身障害学会
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