抄録
背景
医療技術の進歩等に伴い日常的に医療ケアを必要とする医療的ケア児が増加している一方で、養育困難や被虐待など社会的養護を必要とする児が増加している。その中でも重症心身障害のない医療的ケア児に対する短期入所や社会的養護入所などは、社会資源が乏しく支援が行き届いていない現状がある。
目的
当園における過去27年の、社会的養護を入所理由とした新規入所児者を分析し、重症心身障害のない医療的ケア児への支援について明らかにし、医療型障害児入所施設に求められる役割と課題について考察する。
方法
1)1996年度から2022年度に社会的養護を入所理由とした新規入所者176人について、医療的ケアの有無と障害像によって、A群:医療的ケアのある重症心身障害、B群:医療的ケアのない重症心身障害、C群:医療的ケアのない重症心身障害以外、D群:医療的ケアのある重症心身障害以外に分類し、9年間ごとに分析した。2)D群について、入所に至る背景、医療的ケアの内容と経過、退所先について分析した。
結果
1)9年ごとの新規入所者の数は、A群(17名、19名、26名)、B群(27名、18名、10名)、C群(15名、15名、15名)、D群(0名、3名、11名)であり、医療的ケアを必要とするA群とD群は直近9年間で大幅に増加した。2)D群14名の入所に至る背景は、ネグレクト13名、身体的虐待1名であった。医療的ケアの内容は、導尿7名、経管栄養4名、気管切開4名、人工呼吸器1名、血液透析1名、腹膜透析1名であった。退所した5名のうち3名がグループホーム、1名が自宅に移行し訪問看護を利用している。
考察
重症心身障害のない医療的ケア児者の新規入所者が増加しており、多様化する状態像への対応が求められ、設備や人員配置などの体制整備の再検討が急務と思われる。また、重症心身障害のない医療的ケア児(者)が家族に頼らずに地域での暮らしを実現するためは、地域社会全体で支える仕組みが重要と思われる。