抄録
近年格闘技競技者に流行する T. tonsurans 感染症に対して、「ブラシ検査、治療、予防のガイドライン」が作成され、それが全国柔道施設に配布され啓発が進んでいる。これに沿ってブラシ検査が施行され要治療者が判別されているが、ブラシ検査が T. tonsurans 感染症の現状を反映しているのか判断に迷う場合がある。
そこで今回我々は、石川県下の某高校柔道部(部員 26 名の強豪校)に対して、3 週間にわたり練習前後にブラシ検査を行い以下の項目を検討した。1. 練習前後の陽性者数の差異、2. 外用抗真菌剤塗布後の陽性者、3. 自宅での洗髪後のブラシ検査結果、4. 難治例の各種抗真菌剤 MIC 測定。
〔結果〕1. 練習前ブラシ検査陽性者は 6 名(陽性率 23.1%)で、練習後陽性者数は 10 名(38.4%)となった。陽性者と毛髪の長さ、アトピー性皮膚炎の既往とは関係がなかった。2. 練習前陽性者 7 名(26.9%)が、ケトコナゾール塗布後には陽性者は 0 名となった。その 3 時間練習後陽性者は 6 名(23.1%)となった。3. 帰宅し自宅で通常の洗髪後に行ったブラシ検査結果は、練習前の検査結果と同じで、それは 1 週間 4 回にわたって同じ傾向が見られた。4. 難治例と完治例とのTBF、ITZ の MIC 値は差がなかった。
〔結語〕ブラシ検査は練習前にすべきであり、その検査結果はおおむね感染状況を反映する。ケトコナゾール外用は菌付着の予防にはならない。