抄録
N. farcinica は易感染者にしばしばみられるNocardia 症の原因菌の一菌種である。また、Nocardia 属の中でも脳中枢神経系の病巣から検出される頻度が高い菌種なので、早期診断は重要である。そこでPCR法による早期診断のための N. farcinia に特異的なプライマーの作製を行なった。
(方法) N. farcinica をはじめ、臨床から分離される Nocardia 属菌種を中心に RAPD (random amplified polymorphic DNA) 法で解析を行なった。電気泳動により得られた N. farcinica に特異的なバンドを切り出し、塩基配列を決定した。その塩基配列情報から PCR 用のプライマーを作製し、特異性を確認した。
(結果) 作製したプライマーを用いて、RAPD 法で用いた菌種を含む 25 菌種に対して PCR を行なった。その結果、電気泳動により N. farcinica だけに増幅が認められ、本プライマーが種特異的であることが明らかとなった。
(考察) PCR 法で安定した結果を出すためには、ある一定量の菌体が必要である。そこで今後は、従来の PCR 法より感度が良いとされている real-time PCR 法による解析を行ない、定量性を上げる予定である。