抄録
【目的】前回我々はアゾール耐性機序が明らかな株を用いてフルコナゾール (FLCZ) とイトラコナゾール (ITCZ) のラクトフェリン (LF) との併用効果について検討し、相乗的に作用する事を報告した。その機序として efflux ポンプの抑制や LF の鉄キレート作用が考えられた。今回 FLCZ の菌体内濃度がLF存在下で変化するか否か、また相乗効果が LF の鉄キレート作用によるものか否かについて検討した。【方法】菌株は抗真菌薬感受性の標準株である SC5314、CDR1 過剰発現ミュータント C26、CaMDR 過剰発現ミュータント C40、erg3 と erg11 ミュータント Darlington、実験的に作成した erg3 ミュータント CA12U を用い IC50 を CLSI M27A の方法に準じて計測した。菌体内の FLCZ 濃度は [3H ] FLCZ を用いて測定した。また培地に高濃度の 2 価及び 3 価の鉄を加え FLCZ と ITCZ の LF との併用効果に変化が見られるか検討した。【成績】[3H ] FLCZ の取り込みは LF 存在の有無とは関係なかった。高濃度の鉄存在下では FLCZ の LF との併用効果は消失した。しかし ITCZ においては LF との併用効果に変化はなかった。【結論】[3H ] FLCZ の取り込み実験にて LF による efflux ポンプの抑制という仮説は否定的であると考えられた。また高濃度の鉄を添加する事によって FLCZ と LF の併用効果が抑制された事から、LF の鉄キレート作用が FLCZ と LF の併用効果の機序であることが示唆された。しかし ITCZ では高濃度の鉄を加えても相乗効果がみられたことから、別の作用機序があると考えられた。