日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第49回 日本医真菌学会総会
セッションID: M-1
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病原真菌の観察法
皮膚糸状菌同定の第一歩
*西本 勝太郎
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抄録
皮膚糸状菌は寄生形態の単純さに比べ、培養では形態的に大きな差異を示す一群の真菌からなっており、他の菌種、たとえばアスペルギルス属や、生物学的性状に依存することの多い酵母の同定とは、異なったとらえ方が要求される。また原因菌の分離と同定を行う前に、その病変の性状から推定される原因菌種に的を絞って、検索を進めることができるという特徴も持っている。
 皮膚糸状菌症において、原因菌の種までの同定が求められるのは、
   1)珍しい症例の検索時
   2)疫学的調査
   3)難治例などで、原因菌の薬剤に対する感受性が必要とされる場合
 などがある。
  治療だけを目的とした場合、皮膚糸状菌症の診断は、カセイカリ鏡検によって比較的容易に確定することができる。カセイカリ鏡検の有用性はこれのみでなく、その寄生形態によって目的とする菌種を絞ることができ、寄生形態と、培養によってえられた皮膚糸状菌菌種との間に矛盾がないことも正確な同定のために必要である。
 同定の第一歩は、純培養の真菌をえることから始まる。臨床的な病型や、あるいは露出部の炎症性白癬などから推定される感染源によって目的とする菌種を絞り込み、場合によっては分離用の培地を選ぶことも考える。生えてきた菌の中から形態的な特徴にもとづいてコロニーを拾い上げ、純培養とする。
 真菌の「分類学」と「同定法」は別物である。皮膚糸状菌についてもこれは当てはまる。近年分子生物学的な手技が急速に取り入れられ、菌種の同定に際してもその有用性が確認されたとはいえ、肉眼的・顕微鏡的形態の特徴をキイとした菌種の同定はまだ基本的な手技として残る。皮膚糸状菌の特徴として、コロニーの形態が綿毛状から湿潤性に近いものまで幅広く、顕微鏡形態についても、大分生子、小分生子など菌種の特徴となる器官の産生能が、菌種によって極端に異なることがあげられる。また Trichophyton rubrum などは菌種内の変異が大きい。
 本セミナーにおいては、成書に記載された皮膚糸状菌のいくつかの菌種について、その形態的な特徴を他菌種との比較においてまとめ、同定法のポイントとして述べる。
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© 2005 日本医真菌学会
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