日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第49回 日本医真菌学会総会
セッションID: EI-2
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アトピー性皮膚炎におけるマラセチアの関与
抗真菌薬によるアトピー性皮膚炎治療の試み
*坪井 良治
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抄録

アトピー性皮膚炎 (AD) はアトピー素因を背景に特定の部位に湿疹性病変を繰り返す疾患である。従来より Candida, Malassezia をはじめ種々の微生物の感染が AD の悪化因子としてよく知られている。Malassezia は皮膚の常在菌であるが、その定着により菌特異的 IgE 抗体価も上昇する。そのため、国内外で AD 患者に対してイトラコナゾール (ITZ) やケトコナゾール (KTZ) による抗真菌療法が実施されたが、皮疹の程度が周期的に変化する AD の特性から、抗真菌薬の有効性が確定されたとは言いがたい。
最近、我々は明治薬大・杉田 隆 講師との共同研究により、AD 病変部に局在する Malassezia を菌由来 DNA を直接検出する方法で同定・定量することを報告した。その結果、M. globosa および M. restricta が主要分離菌種であり、健常者に比較し特定の遺伝型の Malassezia の定着が多いことも判明した。
以上の結果を基に、成人型 AD 患者 20 例に、使用中の外用薬(ステロイドないしタクロリムス)に上乗せする形で 2% KTZ クリームを外用させたところ、Malassezia の除菌率は 90% 以上で、臨床効果も同程度に認められた。また、成人型 AD 患者に対して ITZ 100 mg/d を 4 週間内服投与させたところ、Malassezia の菌量と特異的 IgE 抗体価は減少し、臨床効果も認められた。明らかな臨床効果が認められない症例においても、使用中の外用薬の量を減量できた。

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© 2005 日本医真菌学会
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