抄録
我々はこれまでにマウスの Aspergillus fumigatus の経気管的感染モデルを確立し、検討を行ってきた。今回は gliotoxin 産生性の異なる菌株による感染モデルの、気管支肺胞洗浄液中のサイトカインについて比較検討を行った。(方法)A. fumigatus は当センターに保存されている gliotoxin 産生株 (IFM 49896) および gliotoxin 非産生株 (CBS 144.89) (いずれも臨床分離株) の 2 株を用いた。マウスは 6 週齢の雄 ddY マウスを用い、菌接種開始前日に cyclophosphamide を腹腔内に投与し、その翌日から連日 2 日間本菌胞子 (2.5×107 spore/日) を経気道的に接種した。接種終了から 24、48 時間後にマウスを屠殺後、 3 ml の生理食塩水でマウスの気管支肺胞洗浄を行い、えられたサンプル中の IL-1β、TNF-α、および IL-6 を ELISA 法を用いて測定した。(結果)IL-1β および IL-6 は 24 時間後よりも 48 時間後で、また gliotoxin 非産生株よりも産生株の接種群において、より多く産生されていた。TNF-α は産生株においては 48 時間後の方がより多く産生されていたが、非産生株においては 24、48 時間後の産生量はほぼ一定であった。(考察)今回用いた 2 株は由来が異なるため単純な比較はできないが、mycotoxin の感染プロセスにおける役割について何らかの示唆を与えている結果と考えられる。今後遺伝子破壊株を作成し、同様の比較を行う予定である。